勝手に機材レビュー: ビクセン新製品 ポータブル赤道儀 ポラリエU (2020年1月末発売開始予定)はコスパがいい!?

勝手に機材レビュー: ビクセン新製品 ポータブル赤道儀 ポラリエU (2020年1月末発売開始予定)はコスパがいい!?

2019年12月14日から一泊で行われた、

新型ポータブル赤道儀「ポラリエU」体験会 & 星景写真とタイムラプス教室

に参加してきて、前回、ポラリエUの外観チェックとスペックについて書きました。

記事:勝手に機材レビュー: ビクセン新製品 ポータブル赤道儀 ポラリエU (2020年1月末発売開始予定)の画像とスペック

今回は価格が上がったにも関わらず、コスパが良いと思ったことについて触れます。


こんなことを書きます!

ビクセン新製品 ポータブル赤道儀 ポラリエU (2020年1月末発売開始予定)はコスパがいいと感じた部分をお伝えします。

ポラリエUと旧ポラリエの違い

ポラリエUはビクセンから発売されるポータブル赤道儀(ポタ赤)ということはお伝えしてきました。単純に旧ポラリエとできる基本機能は同じですが値段が上がっています。
では何が違うかを改めて見ていきましょう。

  1. 重量:120gダウン
  2. 搭載可能重量:500gアップ 
  3. 駆動時間:単三電池4本にアップして、駆動時間もアップ 
  4. オートガイダー端子搭載:

主に赤道儀としての機能の違いは上の4点だと思います。もう少し細かく見てみましょう。

  1. 重量:120gダウン
    ポラリエUの方が単三電池4本使いで、単三電池2本の旧ポラリエより軽くなっています。軽さは正義!
  2. 搭載可能重量:500gアップ
    搭載可能重量の方は逆に500gアップしています。絞り値が小さい大口径レンズは重くなりがちですが、そういったことを考慮するとさすがのスペックアップです。
  3. 駆動時間:単三電池4本にアップして、駆動時間もアップ 
    ポラリエUの方が搭載重量が多いものの、単三電池本数アップで5時間ほど駆動時間がアップしたのは好印象です。
    一方でモバイルバッテリー(パワーバンク)を利用すればそちらのバッテリー容量に依存するのであまり影響を受けない人もいらっしゃるかもしれません。そんな方にも朗報なのはUSB Type Cの端子で給電できるようになったことです。
  4. オートガイダー端子搭載:オートガイダーで補正可能。
    ここまむしろメリットを感じる方は少ないとは思います。オートガイダー自体が8万円くらいからするそうなので、ポラリエU自体よりも高価なものです。ビクセンの天体望遠鏡にもオートガイダー付属のものがありますが、そういったものをお持ちの方にはメリットかもしれません。
    ちなみに、そもそもオートガイダーとは何ぞやということを書いておきます。
ガイド撮影(星の追尾)をする赤道儀にはモータードライブを装備しますが、モーター自体はかなり正確に回転をするものの赤道儀を駆動するための伝達ギアにより星の動きに対して若干の誤差が生じます。これをピリオディックエラーといい、小型赤道儀の場合はモーター任せの追尾だと星を点像に写せる限界があり、一定時間以上の露出や長い焦点距離で撮影すると星の像が線状に延びてしまいます。
これを回避するために監視用の小型望遠鏡(ガイドスコープと呼びます)を並列に同架し、星の動きを自動補正してくれるのがオートガイダーです。

ポタ赤でありながらターンテーブル

ポラリエUのコスパが良いと思えるのはこの部分です。タイムラプス撮影用のターンテーブル雲台として使えるようになっているのがこのポラリエUです。
旧ポラリエでは[タイムラプスアダプター]と呼ばれる回転用アダプター(別売:6000円)を購入することで実現できました。しかしこれだけでは、販売価格差15,000円が9,000円に詰まるだけで、コスパが良いとは言えません。

他にも以下のような良い点がてんこ盛りでした。

ポラリエU ポラリエ(初代)
回転中にシャッターを切るときに回転を停めるか、停めないかを設定可能 シャッター時にも常に回転中
CW(Clockwise=時計回り)、CCW(反時計回り=Counter-Clockwise)が筐体を見れば判別しやすい 北半球用/南半球用の設定切替で回転方向を変えるため、回転方向が判別しにくい
CW/CCWの設定はスマホ側から設定でき、スマホ画面上でも回転方向の確認ができる 電池を入れる箇所にN⇔Sの切替スイッチがあり、ふたを開けてアクセスして切替が必要
回転スピードにカスタムスピード設定が可能(20倍速まで)* 回転スピードは星、1/2、月、太陽追尾のいずれかから選択のみ
インターバルタイム設定がアプリ上ででき、インターバルタイマーとして利用可能 インターバルの設定不可(インターバル設定可能なカメラボディかレリーズケーブルが必要)
撮影枚数の制御をアプリからでき、総撮影時間がアプリ画面で確認可能 撮影者自身が露光時間、インターバルタイム、撮影予定枚数から総撮影時間を計算する必要がある

*カスタムスピード設定はインターバル設定が短すぎるとシャッターが切れない可能性があります。(例:インターバルが1秒で、カスタムスピードが20倍)

アプリ画面

筐体画像

SONY ILCE-7M3 (54mm, f/5.6, 1/50 sec, ISO1600)
SONY ILCE-7M3 (66mm, f/5.6, 1/60 sec, ISO1600)
ポラリエUには360°全周に目盛り(5度ごと)があり、水準器もあります

以上のことからこれはタイムラプス用ターンテーブルと同等の機能を持つと考えてよいでしょう!ポタ赤でありながら、タイムラプス用ターンテーブルと一粒で二度美味しいから、コスパが良いと思えるのです。

タイムラプス用ターンテーブルとの比較

本当にそうなのか?

実際に所有しているタイムラプス用ターンテーブル、Syrop社のジーニーミニのスペックと比較してみたいと思います。

ポラリエU ジーニーMini Ⅱ
重量 約575g(電池別) 230g
耐荷重 約10kg以下(パン)、約2.5kg以下(ティルト) 4kg(パン)、3kg(ティルト)*
最大回転速度 0.08°/秒 (15°/時間の星追尾の20倍で計算) 11°/秒
バッテリ駆動時間 約7時間 約15時間(タイムラプス撮影時)
価格 62000円 38,500円

*ジーニーMiniでのティルト撮影は、もう一台のジーニーMiniおよび別売りのパン・ティルトブラケットが必要

細かい設定や速度の速さはジーニーMini Ⅱに軍配があがりますが、単体でティルト撮影ができたり水準器がついていたりと、初めてから初中級レベルまではこのポラリエUで十分カバーできるのではないかと思っています。

ジーニーMiniと旧ポラリエを購入すると80,000円程度の出費を伴うことを考えるとポラリエUのコスパが良いと思えるの当然ですね。星景写真を撮る写真家で、タイムラプス動画も撮ることがある人なら必須のアイテムになるような気がします。

 

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