2019年12月14日から一泊で行われた、
新型ポータブル赤道儀「ポラリエU」体験会 & 星景写真とタイムラプス教室
に参加してきました。
その時に触れた新型ポタ赤、ポラリエU のことについて書きます。なお、製品版ではなく試作機に触れているため実際の製品版と多少異なる部分がでるかもしれません。その点、ご容赦ください。
現時点ではビクセンの現行ポタ赤機種はポラリエですが、1月末にポラリエUが発売されれば、ポラリエUが最新機種になります。
こんなことを書きます!
ポタ赤とは?
まず、ポタ赤とはなんぞやというところを書いておきたいと思います。
ポータブル赤道儀の略で、赤道儀の中でも持ち運びしやすくしたポータブルタイプの赤道儀です。
元々は赤道儀が大きくて持ち運べるようになったものをポタ赤と呼んでいたのが始まりのようですが、現在のポタ赤のイメージからはかけ離れた大きなものですら「持ち運び可」「移動可」という意味でポタ赤と呼ばれるようです。
さらにそれよりも小型で、かばんに入れて電車などで移動できるレベルのものを昨今は「ポタ赤」と呼ぶことが多いと思います。(私もこのイメージでした)
「コンパクト赤道儀」と定義してはという雑誌もありますが、今ひとつ浸透してないようです。
2013年時点での「星ナビ」という雑誌を見ると、コン赤という特集でいくつかのモデルが紹介されています。
http://www.astroarts.co.jp/news/2013/05/01hoshinavi/index-j.shtml
その中の1台が、今回紹介するポラリエUの前のモデルあたる、ポラリエです。
他にもナノ・トラッカー、TOAST-Proの名前が出ています。最近発売された部類のスカイメモT/スカイメモSなどはまだ載ってない時代ですね。
ボディ外観
早速ですが 新型ポラリエU の外観チェックです。2019年のCP+でも展示されていたのでご存知の方も多いと思います。
SONY ILCE-7M3 (62mm, f/5, 1/125 sec, ISO1600)
SONY ILCE-7M3 (43mm, f/5.6, 1/50 sec, ISO640)
SONY ILCE-7M3 (36mm, f/5.6, 1/40 sec, ISO500)
旧ポラリエと比較すると違いが一目瞭然です。
赤道儀とはなんぞや?
改めて赤道儀って何ぞや?というところも書いておきたいと思います。
中学の理科でやったことを思い出すと・・・地球は自転していますね。そのため、一晩中星空を眺めていると、星や月の位置が徐々に動いていきます。
これをカメラで固定撮影すると軌跡になって現れます。点像にはなりません。
SSを長くしなければならない夜空の撮影のため、長秒撮影かつ高ISO感度撮影になります。
一方、星を点像として捉えたい場合、ISO感度をさらに高くしてSSを下げることができますが、あまりにISO感度が上がりすぎて画像としては粗いものになります。
(参考)
記事:ポータブル赤道儀/ポラリエで長秒露光 2つの写真で違いを確認
-
- 広角で撮るほど星は流れて見えない
- 望遠で撮るほど星は流れて写りやすい
これを解決するために使うが赤道儀です。
北極星を中心に地球の自転がわかるように星が回っているので、その星の移動スピード(=地球の自転速度)と同じ速度で回転する雲台が赤道儀だと思っていただければ大体あっています。
ただし赤道儀を使うと星を追尾するので、風景が流れて写ってしまうというデメリットはあります。
その中間速度で星も少し流れてしまい、風景も流れるけど流れる度合いを減らして、見た目では気が付かない程度に風景のブレを抑えようとしているのが、ポラリエでいうところの 1/2 と表示されているモードです。
長くなりましたが、地球の自転と同じスピードで回転する雲台 が赤道儀ということです。そして使うときには北極星に回転軸を合わせて(向けて)使います。
北極星を合わせる方法(極軸を合わせる方法)
上で北極星に軸を合わせると書きました。
旧ポラリエでは後ろ側からみると本体の右上に覗き穴があって、ここの中に北極星が見えるように軸を合わせていました。
新しいポラリエUのボディにはそのような穴がありません。ではどうするか?
[素通しファインダー]なるものが添付されていて、これをアクセサリシューに付けて北極星に合わせます。
SONY ILCE-7M3 (35mm, f/5, 1/60 sec, ISO1600)
また、旧ポラリエもそうでしたが、[極軸望遠鏡] が別売になっているので、別売の極軸望遠鏡を利用して精度を高めて極軸を合わせる方法もあります。
SONY ILCE-7M3 (60mm, f/5.6, 1/60 sec, ISO8000)
すこしわかりづらいですが、ボディの後ろにプレートを付けて、そこに極軸望遠鏡をはめます。
これは旧ポラリエより格段に使いやすくなっています。
というのも雲台にカメラを付けたまま極軸望遠鏡で軸合わせができるからです。
旧ポラリエはカメラのついた雲台を一旦外してから極軸望遠鏡を付けたのでかなり手間でした。
(注意事項:新しいポラリエUの極軸望遠鏡は、旧ポラリエの極軸望遠鏡と形が異なり、流用できません。逆に、ビクセンの望遠鏡に使う極軸望遠鏡と同じ形状ですので、ビクセンの望遠鏡のものを流用はできます。
ビクセンのご担当者の方は、旧ポラリエの極軸望遠鏡の形状変更を有償サービスで考えているようなことをおっしゃっていましたが、どうなるかは未定だと思います)
スペック
まず第一印象は軽くなりました。
重量
ポラリエU: 575g(電池別)+単三電池4本(約23g/本と仮定 92g)=667g
旧ポラリエ: 740g(電池別)+単三電池2本 (約23g/本と仮定 46g)=786g
約120gの差で、手に持った感触ほどは差はないですが、重心位置などの差による違いはあるようです。
搭載可能重量
ポラリエU:
標準雲台ベース使用:約2.5kg以下(モーメント荷重25kg・cm:回転中心より10 cmで約2.5kg)
旧ポラリエ:
標準雲台ベース使用:雲台を含めて約2.0kg(モーメント荷重20kg・cm:回転中心より10cmで約2.0kg)
若干新しいポラリエUの方が荷重をかけられます。さらにマルチ雲台ベースとカウンターウェイトを使用した場合の情報も出ています。
ポラリエU:
ポラリエ用マルチ雲台ベース、カウンターウェイト等を使用した場合:雲台を含めて6.5kg以下(カウンターウェイト等を含まず)
(モーメント荷重65kg・cm:回転中心より10cmで約6.5kg)
タイムラプス配置時:約10kg 以下(回転中心より10cmで約10kg)
以上のように細かい情報もさらに掲載されました。
旧ポラリエでもマルチ雲台ベース、カウンターウェイトは使えるようになっていましたが、ポラリエが発売されてからオプション設定されたためか細かい記載はなかったと記憶しています。
さらにタイムラプス用ターンテーブル用途として水平に標準雲台ベースを置いて回転させた場合、旧ポラリエでも非公表ながら10kgは大丈夫といわれていましたが、今回は公表値として書かれました。
ポラリエU | 旧ポラリエ | |
微動 | ウォームホイールによる全周微動、φ58.4mm・歯数144山、材質:アルミ合金 | ウォームホイールによる全周微動、φ57.6mm・歯数144枚、材質:アルミ合金 |
ウォーム軸 | 8mm、材質:真鍮 | φ9mm、材質:真鍮 |
極軸 | φ40mm、材質:アルミ合金 | φ40mm、材質:アルミ合金 |
ベアリング数 | 2個 | 2個 |
駆動 | パルスモーターによる電動駆動 | パルスモーターによる電動駆動 |
搭載可能重量 | ■恒星時運転での配置時: ①標準雲台ベース使用:約2.5kg以下(モーメント荷重25kg・cm:回転中心より10 cmで約2.5kg) ②ポラリエ用マルチ雲台ベース、カウンターウェイト等を使用した場合:雲台を含めて6.5kg以下(カウンターウェイト等を含まず) (モーメント荷重65kg・cm:回転中心より10cmで約6.5kg) ■タイムラプス配置時:約10kg 以下(回転中心より10cmで約10kg) |
雲台を含めて約2.0kg(モーメント荷重20kg・cm:回転中心より10cmで約2.0kg) |
追尾機能 | 恒星時追尾、0.5倍速追尾(対恒星時)、太陽追尾(平均速度)、月追尾(平均速度):北半球・南半球対応、別途スマートフォンによる速度設定可 | 恒星時追尾、0.5倍速追尾(対恒星時)、太陽追尾(平均速度)、月追尾(平均速度)、北半球・南半球対応 |
素通しファインダー | 北極星導入用:等倍、実視界約8.9°(アクセサリーシューに取付け) | N/A |
北極星のぞき穴 | N/A | 等倍、実視界約8.9° |
極軸望遠鏡 | 極軸望遠鏡PF-LII(別売)対応(専用取付アーム(別売)併用) | N/A |
水平出し | タイムラプス用水準器装備 | N/A |
方位目盛 | タイムラプス用方位目盛装備 (5°間隔) | N/A |
カメラ端子(レリーズ端子) | φ2.5mm三極ステレオミニジャック ピンアサイン:センターから順にシャッター全押し、半押し、COMMON |
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オートガイダー端子 | 6極6芯モジュラージャック(外部オートガイダー用) | |
外部電源端子 | USB Type-C | USB-mini B |
傾斜計 | N/A | 0-70°(1目盛5°) |
その他 | N/A | コンパス内臓 |
動作電源 | 単三電池×4本:アルカリ乾電池、Ni-MH充電池、Ni-Cd充電池に対応 外部電源 : USB Type-C型対応外部電源に対応 |
単三電池×2本(アルカリ乾電池、Ni-MH充電池、Ni-Cd充電池に対応)外部電源:USB-mini B型対応外部電源 |
動作電圧 | 単三電池 : DC4.8~6.0V 最大0.5A(2.5kg搭載時) 外部電源 : DC 4.4~5.25V 最大0.5A(2.5kg搭載時) |
単三電池:DC2.4~3.0V 最大0.6A(2.0kg搭載時) 外部電源:DC4.4~5.25V 最大0.3A(2.0kg搭載時) |
連続作動時間 | 約7時間( 20℃、2.5kg搭載時:アルカリ乾電池使用)外部電源使用時は電源に依存 | 約2時間(20°C、2.0kg搭載時、アルカリ乾電池使用) |
Wi-Fi機能 | 専用アプリケーションソフトウェアによりスマートフォンをユーザーインターフェースとして使用可 | |
専用アプリケーションによる動作環境 | 対応OS : Android 4.4以上、 iOS 9.0 以上 ・Wi-Fi規格:IEEE 802.11b/g ・データ暗号化方式:WPA2-PSK 条件を満たしていても使用できない場合がございます。ご使用の際は必ず事前にアプリケーションソフトウェアの動作をご確認ください。 |
|
動作温度 | 0~40°C | |
大きさ | 88.5×72×110.5mm(除・突起部) | 95×137×58mm(突起部を除く) |
重さ | 約575g(電池別) | 740g(電池別 |
別売オプション | Vixen 天体望遠鏡 極軸望遠鏡PF-LII、極望アームPU、極軸微動雲台DX、ポーラメーター | ポラリエ極軸望遠鏡PF-LII、ポーラメーター、タイムラプスアダプター |
価格(ビクセン・オンラインショップ) |
62,000円(税別)*2019年12月27日時点 | 47,000税別*2019年12月27日時点 |
いろんな意味で進化を遂げています。もう少し進化を遂げたアプリとの連携はまた後日書きたいと思います。
なお、進化を遂げた分価格もあがっています。。。(;^ω^)