星景写真における机上ロケハンの3つのポイントと使うべき3種類のツール

2019年2月2日に九十九里浜へ向かい星景写真を撮影しましたが、その時の撮影場所決定の方法を簡単に記載しました。

記事:2019年2月2日 九十九里浜で土星、月、金星、木星、そしてさそり座の5つのそろい踏みを撮影

この時触れたロケハンの方法について、私のやり方をもう少し詳しく述べたいと思います。

こんなことを書きます!

星景写真の撮影の際に机上でロケハンをするための3つのポイント、使うべき3種類のツールを書きます。

アプローチ

星景写真を撮る際に重要なポイントは以下の3つです。

  • 天上の被写体(月・星・星座・天の川)を何にするか?
  • 地上の被写体(風景・オブジェ)を何にするか?
  • 撮影日時はいつにするか?

風景写真撮影の場合に行きたい風景があって、その向き、光の具合をある程度考えて現地に赴くかと思います。(旅行の合間で時間の調整がつかない場合はその限りではないかもしれませんが)同様のアプローチが地上の被写体をメインに考える場合です。
逆に天上の被写体がメインで、その被写体に合う地上風景なり、地上オブジェを探す場合は風景写真と違ったアプローチになります。

これとは別になんらか別の用事(家族旅行・出張)で撮影できそうな日取りがきまってから、どうしようか決めるパターンもあると思います。その際も考えるべきは天上・地上の被写体をどうするかです。

天上の被写体選び

天上の被写体を探す場合はまずはシュミレーションです。季節ごとに有名な星座(例:夏のさそり座、冬のオリオン座)があるように、星の動きはシュミレーションできます。
シュミレーションするソフトとしては以下の有料・無料のアプリケーションソフトがあります。

有料 ステラナビゲーター 日本語版で、日本の都道府県の位置検索が容易、レンズ焦点距離による撮影範囲もシュミレーションも可能と高機能
無料 Stellarium
(ステラリウム)
英語版のため英語による記述や、位置検索になれる必要がある
MAC版もある
無料 Stella Theater Lite
(ステラシアター・ライト)
日本語版のフリーソフトでシュミレーションだけならまずこちらから

MAC版は少ないので、WindowsをBoot Campして使ったりするのがベターかもしれません。(MACについては詳しくないのであしからず)

最初は大まかに一旦みますが、被写体は撮影日時を絞り込む際には場所・時間はもとより、場合によっては標高も正しく入れて正確なシュミレーションが必要になることがあります。
レンズ選びにはステラナビゲーターのように焦点距離で写せる範囲をある程度表示してくれるものだとより便利です。

地上の被写体の選び

地上の被写体を探す場合シュミレーションの前に経験に頼ります。これは写真の経験とは限りません。
都市星景で関東で考えたら東京タワースカイツリー横浜ランドマークタワー東京都庁東京駅・・・といくつも被写体が考えられます。そんな大きなものでなくても、公園にある像やオブジェも良い被写体になる可能性があります。
もっと星を求めて郊外に出る場合は、過去に旅行したりドライブで訪れた経験を利用します。経験がなくても富士山ならだれもが知る良い被写体ですし、山並みが美しい場所は候補になります。池や湖も視界が開けて良いです。風景写真を撮りに行ったことがあるならイメージをしやすいです。

それでも何度も同じところで撮るということは飽きも含めて難しく、写友の知っている場所に頼ったり、ネットで有名撮影地の写真を検索したりします。それも使えないときは新規開拓です!

新規開拓で地上の被写体を探す場合地図ソフトです!

特にグーグルマップをよく使います。空撮写真とストリートビュー機能が使える場合が多いからです。ストリートビュー機能とは、道路から左右の風景の写真を撮ったものを地図上に表示させる機能です。さらにはユーザーがアップした写真を見れることがあります。そこの場所に行かなくても雰囲気が掴める可能性が高いのです。これが机上ロケハンには重要なポイントです。

撮影日時の選択?

日時の選択は、選択ができない場合と、選択できる場合があると思います。

  • 日時の選択ができない場合: 出張、帰省、家族旅行で行程が決まっている場合のついで、合間に星景撮影を行う場合
  • 日時の選択ができる場合:  土日祝日、会社の休業日や学校の休校日で自分自身でスケジュールを決められる場合

日時が選択できない場合

日時が選択できない場合のメリットは月齢を選ぶ必要がないこと、天候を気にする必要がないことです。月齢に合わせて被写体や方角を考えるしかなく、天候が悪ければ諦めるしかないです。

日時が選択できる場合

日時が選択できる場合のメリットは月齢や天候の良さそうな日を選択したり、第一/第二候補日や、第一/第二候補撮影地というようにいくつかの選択肢を持つことができることです。
後述しますが1年に約10日くらい土日で新月期に当たる日があります。そして晴天率を仮に50%とすると1年に約5回しかチャンスがないです!

このためまずは新月期の土日・祝日がどこにあるかを事前に調査しておき、スケジュールを開けておくことは大事ですね。可能な場合は有給休暇取得などを事前計画しておくとより良いですね。

便利なのは月齢カレンダーを使うことです。私は以下のカレンダーを使っていつの土日・祝日の月齢がどんな感じかを把握しています。
私の場合は仕事の繁忙、娘の幼稚園のスケジュールを見ながら、新月期の土日をうまく撮影に向かう日に当てようと画策しておきます。そしてその季節のめぼしい天上の被写体を探しにステラナビゲーターを眺めるステップに戻ります。
SONY ILCE-7M3 (105mm, f/5.6, 1/125 sec, ISO5000)
SONY ILCE-7M3 (43mm, f/8, 1/50 sec, ISO640)

さらに時間帯を絞り込むには、日出/日没情報と月出/月没情報が重要です。日めくりカレンダーにも記載があるのですが、Webサイトの[こよみのページ]の中にある[月齢カレンダー]の直リンクをお気に入りに入れています。

そこから[月出没計算]をクリックすると該当の1か月の毎日の月の出る時刻、月の沈む時刻、正中する時刻、そして月齢がわかります。
地点計算選択リストから、撮影に行く[地方]を選択すると、時刻の補正が行われます。さらに、[眼高(標高)]を入れるとさらに正確な時間補正が行われます。*
さらに[日出没計算]をクリックすると、日出/日没/正中時刻がわかります。

*余談ですがパール富士など月を被写体にする場合は地方の緯度経度、標高、そして月と絡める被写体(パール富士なら富士山)と撮影地点までの距離、目標物との標高差などを綿密に計算して決める必要があります。そして使うツールはさらに増えるので、このあたりは別途書きたいと思います。

仮に撮影候補地が東西で2地点ある場合は、それぞれの地点で日出/日没、月出/月没を把握しておく方が良いです。その後、GPVなどの天気予報サイトを駆使して天候を見ながら撮影地を確定していけば、より高確率で星の撮影のチャンスをつかみやすくなると思います。

星景撮影に適する日は年間何日訪れる?

1年は52週あり、土日の合計は約100日。祝日が18日あります。(本2019年は天皇退位・新天皇即位があるため祝日が増えます)そのほかに夏季休暇と年末年始の休暇を入れたら約125日くらいは自由に日時が選択できる候補日があります。さらに会社員なら有給休暇取得という手もありますし、自営業の方なら臨時休業という手もあります。学生なら夏休み、冬休み、春休み、場合によっては試験休みもありますね。実は日本人は休みすぎていますね。

趣味の範囲で星景撮影をするための日取りを決められるのは年間約130日!

土日:年間約100日
祝日:年間18日 (ただしカレンダーの良し悪しで土曜日と重なる場合は会社員や学生には祝日が減ったように感じます)
夏季休暇:約7日
年末年始休暇:約7日
休日合計:約130日以上
*自営業・サービス業でそんな休んでられない、休日返上でいつも働いていらっしゃるという方はお疲れ様です。あくまでも標準的な目安とお考えください。

1年での新月は約12回です。2019年は13日あります。

新月回数(土日) 満月回数
2016年 13回(4日) 12回
2017年 12回(5日) 12回
2018年 12回(2日) 13回
2019年 13回(3日) 12回
2020年 12回(5日) 13回

ちなみに2019年の新月は以下の日取りです。2019年中の新月の日が土日に当たる日は3日です。新月期の土日祝日の数をカウントしても35日前後です。つまり1年の休みの日の25%前後が新月期で星を多く写しやすい日です。(26.9%=35/130日)

1月 1月6日(日)
2月 2月5日(火)
3月 3月7日(木)
4月 4月5日(金)
5月 5月5日(日)
6月 6月3日(月)
7月 7月3日(水)
8月 8月1日(木)/8月30日(金)
9月 9月29日(日)
10月 10月28日(月)
11月 11月27日(水)
12月 12月26日(木)

これだけではなく、その日が(快晴ではなくとも)晴れていることが星を撮影する条件です。ちなみに東京での日照率40%以上の日は約54%*でした。
*気象庁のデータより(1981年~2010年までの平均値)

新月期に当たる土日祝日は約35日前後で、東京地方ではその約54%が日照率40%以上の日という統計結果 つまり約10日のみ1年で星景撮影に適した日が来る計算
新月の日をズバリ土日祝日だけで狙うなら1日あるくらい・・・

新月の土日で快晴が見込まれたら貴重で逃したくないですね!

まとめ

星景写真を撮りに行くための机上でロケハンをするための3つのポイントと必要なツールは以下の通りです。

ポイント ツール 私の利用しているもの
天井の被写体選び 天体シュミレーションソフト ステラナビゲーター10
地上の風景・被写体選び 地図ソフト グーグルマップ(空撮写真、ストリートビュー)
撮影日時の選択 月齢カレンダー 月と波のカレンダー

少しでも撮影計画のお役に立てたら幸いです。

Shootingカテゴリの最新記事